こんにちは、就労支援準備室の岡野たかしげです。
10月7日(水)、下京区は堀川高辻にある京都市立北総合支援学校中央分校を訪問しました。

今回の訪問は、同校の稲岡分校長とお会いしたご縁から、
障がいのある子どもたちが、
学校でどのように学び、卒業後の暮らしや社会との関わりに向けて、どのような力を育んでいるのか、
実際の教育現場を見せていただきたいと思ったことがきっかけです。
私はこれまで、京都市立白河総合支援学校、東山総合支援学校、鳴滝総合支援学校を何度も訪問してきました。
生徒の皆さんと「働くこと」について真剣に話をしたり、
先生方と卒業後の就労や支援について意見交換を重ねたりと、
就労支援に携わる立場から、学校教育と社会に出た後をどうつないでいくのかを考える機会をいただいてきました。
これら3校は高等部の生徒が(鳴滝校のみ小・中学部あり)、卒業後の企業等への就労を見据えた職業教育に力を入れている学校です。
一方、今回訪問した中央分校には小学部から中学部、高等部までがあり、
卒業後の進路としては、就労継続支援B型や生活介護などの福祉サービスの利用が主に想定されています。
中央分校は2024年4月、旧格致小学校の跡地に開校しました。
校内には「格物致知(かくぶつちち)」と刻まれた石碑があります。

「物事の道理を深く究めることで、知識や知恵を高めていく」という意味を持つ言葉で、「格致」という名の由来にもなっています。
長く地域の教育を支えてきた場所に、時代を越えて新たな学びの場が生まれていることにも、感慨深いものがありました。
当日は稲岡分校長から、中央分校の成り立ちや教育上のねらい、
学校の特色についてご説明いただいた後、
小学部から高等部まで、実際の授業を一つひとつ見せていただきました。
(プライバシーの観点から校内の写真は割愛します)
学校が掲げる教育目標は、
「自分から 自分で 自分らしく みんなとともに 学び合う子どもの育成」。
授業を見ながら稲岡校長先生のお話を伺う中で、
特に印象に残ったのは、特定の作業や技能を身につけるための「訓練」に重点を置くのではなく、
一人ひとりの個性や障がいの特性、発達の段階に合わせ、その子が持っている力をどう引き出し、伸ばしていくかを大切にされていることでした。
発達の途上にある子どもたち一人ひとりの個性や可能性を、大人がどのように見つけ、引き出していくのか。
これは障がいの有無にかかわらず、どの学校にも共通する教育の大きなテーマだと思います。
一方で、中央分校に通う子どもたちの中には、言葉だけでは自分の思いや意思を十分に伝えることが難しい子もいます。
だからこそ、表情やしぐさ、行動、何に興味を示すのか、どんな場面で力を発揮するのか――さまざまなサインを丁寧に捉えながら、その子自身を理解していくことが求められます。
稲岡校長先生のお話では、そうした子どもたちの小さな変化や可能性を捉え、
学びにつなげていくため、中央分校には高い専門性と経験を持った先生方が集まっているとのことでした。
実際に授業を拝見していても、子どもたちへの声のかけ方や距離の取り方、
それぞれの反応を見ながら関わり方を変えていく様子など、一人ひとりをよく見ながら授業が進められていることが印象に残りました。
同じ教室で学んでいても、得意なこと、苦手なこと、意思の伝え方、物事への興味や取り組み方は一人ひとり違います。
「みんなが同じことをできるようになる」ことを目指すのではなく、
それぞれに合った方法で、自分から取り組むこと、自分で選ぶこと、人と関わること、そして自分らしく社会の中で生活していくための力を育んでいく。
実際の授業を拝見すると、その考え方が日々の教育の中に丁寧に落とし込まれていることが伝わってきました。
これまで訪問してきた3校では、「働くこと」をより具体的な目標として、生徒の皆さんと話をする機会が多くありました。
一方、中央分校で今回見せていただいたのは、「働く」という一つの形だけではなく、
一人ひとりが卒業後、どのように暮らし、どのように人や地域、社会と関わっていくのか、その土台となる力を育む教育でした。
これは、就労支援に携わる私自身にとっても、改めて考えさせられるところでした。
私たちは「就労支援」という仕事柄、どうしても「働く」ということに目が向きます。
しかし、障がいの程度や特性は一人ひとり異なり、卒業後の生活や社会との関わり方もまた、それぞれに違います。
大切なのは、一つの形に当てはめることではなく、その人が持つ力や個性を見つめ、その人に合った形で社会とのつながりをつくっていくことなのだと思います。
小学部から始まる「学び」と、その先にある卒業後の暮らし。
これまで訪問してきた総合支援学校とはまた違った教育の現場を見ることで、
学校から社会へと続いていく一人ひとりの人生を、より長い時間軸で考える機会となりました。
学校での教育、卒業後に利用する福祉サービス、就労、そして地域での暮らし。
進む道はそれぞれ違っても、それらを別々に考えるのではなく、一人の人生としてどうつないでいくのか。
私自身、就労支援に携わる者として、改めて大切な視点をいただいた訪問となりました。
お忙しい中、丁寧にご説明いただき、校内をご案内くださった稲岡分校長をはじめ、先生方、児童・生徒の皆さん、ありがとうございました。

