
夏の暑さが厳しかった8月、私は京都市内の老舗・総合建設コンサルタント会社の代表を訪ねました。
かつて別の業界で顔を合わせることが度々ある方でしたが、現在私が携わっている障がい者就労支援に関心を寄せていただいたこと、また私が先方の事業内容に疎いこともあり企業訪問させていただくことに。
建設コンサルタントと聞くと、最初はどんな仕事か想像がつきませんでしたが、代表いわく「簡単に言えば設計事務所です」とのこと。ただ設計だけではなく、その前段階の調査や計画、さらには後工程までを含めた幅広いサービスを提供するため、現在はこうした名称が用いられているそうです。なるほど、、勉強になりました。
さて、その会社では過去にも障がい者雇用の経験があり、現在も事務職の人材を求めているとのお話でした。そこで、当協会で支援しているUさんをご紹介することに。UさんはIT系営業や法律事務所での事務経験がありましたが、適応障害をきっかけに休職。2025年に自閉スペクトラム障害と診断を受けてからは、ワークサポートセンター(WSC)でoffice系やweb系のスキル訓練にしっかり励んでこられました。
さて面接の当日。就労意欲が高く、しっかりしている方なので、面接の場では初めは見守る私たちも緊張していましたが、すぐに安心して見守ることができました。
面接では各部署の方から経歴や障がいについて、職務内容や条件の確認などの質問が次々と投げかけられましたが、Uさんは落ち着いた態度で質問内容に的確に過不足ない回答。その姿に「うちの新入社員よりしっかりしてるんちゃうか?!笑」と企業の方々や我々引率者も驚き、場が和む一幕もありました。
面接から数時間後「ぜひ10月から来てほしい」と採用の連絡が入りました。
とはいえUさんは即答せず、数日悩まれました。数年のブランクを経て新しい環境に飛び込む不安は当然のことです。むしろ短期間で挑戦を決意されたこと自体、勇気ある一歩だと感じますし、Uさんの流暢で淀みない面接を少し見ただけで彼の気持ちを軽く考えていた自分を反省しました。
今後も私たちは企業さまとUさんの間に立ち、それぞれの不安や課題に寄り添いながらサポートを続けます。
新しい一歩を踏み出すUさんが、この環境で力を発揮していかれることを心から願っています。
※自閉スペクトラム症(ASD)
主に社会的なコミュニケーションの困難さや空間・人・特定の行動に対する強いこだわりがある等、多種多様な障害特性のみられる発達障害のひとつ。
この障害特性により、日常生活や社会生活において困難さを感じることがあります。
(参考:日本自閉症協会websiteより)